大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

名古屋地方裁判所 昭和61年(わ)975号 判決 1986年9月30日

本店の所在地

名古屋市昭和区福江三丁目三番五号

オグラ商事株式会社

(右代表者代表取締役 小倉昇)

本籍・住居

名古屋市名東区植園町一丁目二六番地

会社役員

小倉昇

昭和七年六月二八日生

右の者らに対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は検察官飯塚和夫出席のうえ審理を遂げ、次のとおり判決する。

主文

被告人オグラ商事株式会社を罰金一、〇〇〇万円に、被告人小倉昇を懲役一〇月にそれぞれ処する。

被告人小倉昇に対しこの裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

訴訟費用は被告会社及び被告人の連帯負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告人オグラ商事株式会社(以下「被告会社」という。)は、肩書所在地に本店を置き、住宅建材卸売を業とするもの、被告人小倉昇は、被告会社の代表取締役としてその業務全般を統轄しているものであるが、被告人小倉昇は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、決算時において売上高の圧縮、商品仕入高の過大計上、期末棚卸高の除外をするなどの方法により所得の一部を秘匿した上

第一  昭和五六年一〇月一日から同五七年九月三〇日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が四、一五一万九、三〇七円で、これに対する法人税額が一、六一八万七、五〇〇円であるのに、昭和五七年一一月三〇日、名古屋市瑞穂区瑞穂町西藤塚一番の四所在の昭和税務署において、同税務署長に対し、欠損金額が一、九七五万九、五三九円でこれに対する法人税額が零円である旨の虚偽過少の法人税確定申告書を提出して、法人税一、六一八万七、五〇〇円を免れ

第二  同五七年一〇月一日から同五八年九月三〇日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が一、〇六一万二四〇円で、これに対する法人税額が三一八万一、六〇〇であるのに、同五八年一一月二九日、前記昭和税務署において、同税務署長に対し繰越欠損金六〇万七、四〇七円を控除したので、所得は零円でこれに対する法人税額が零円である旨の虚偽過少の法人税確定申告書を提出して、法人税三一八万一六〇〇円を免れ

第三  同五八年一〇月一日から同五九年九月三〇日までの事業年度における被告会社の所得金額が二、七一六万五、一七六円で、これに対する法人税額が一、〇五二万三、八〇〇円であるのに、同五九年一一月三〇日、前記昭和税務署において、同税務署長に対し、繰越欠損金八三四万七、一六九円を控除したので、所得は零円でこれに対する法人税額が零円である旨の虚偽過少の法人税確定申告書を提出して、法人税一、〇五二万三、八〇〇円を免れ

もって、それぞれ不正の行為により法人税を免れたものである。

(証拠の標目)

判示全部の事実につき

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官及び大蔵事務官(九通)に対する各供述調書

一  牧野久美男の検察官及び大蔵事務官(二通)に対する各供述調書

一  金子馨、字佐美清典(二通)、内山茂、平尾明夫、榎本正幸、板倉英男、小倉徳子(三通)の大蔵事務官に対する各供述調書

一  大蔵事務官作成(60・12・5)の脱税額計算書説明資料

一  大蔵事務官作成の臨検てん末書

一  登記官高崎武義作成の登記簿謄本

判示第一の事実につき

一  大蔵事務官作成の(昭和五六年一〇月一日 昭和五七年九月三〇日)についての法人税申告の証明書

一  大蔵事務官作成の(自昭和五六年一〇月一日 至昭和五七年九月三〇日)についての脱税計算書

判示第二の事実につき

一  大蔵事務官作成の(昭和五七年一〇月一日 昭和五八年九月三〇日)についての法人税申告内容の証明書

一  大蔵事務官作成の(自昭和五七年一〇月一日 至昭和五八年九月三〇日)についての脱税額計算書

判示第三の事実につき

一  大蔵事務官作成の(昭和五八年一〇月一日 昭和五九年九月三〇日)についての法人税申告内容の証明書

一  大蔵事務官作成の(自昭和五八年一〇月一日 至昭和五九年九月三〇日)についての脱税額計算書

(法令の適用)

判示各所為は各事業年度毎に法人税法一五九条一項(被告会社については更に同法一六四条一項)に該当するところ、被告会社については情状により同法一五九条二項を適用し、被告人小倉昇については所定刑中懲役刑を選択することとし、以上は刑法四五条の併合罪であるから被告会社については同法四八条二項により合算した金額の範囲内において罰金一〇〇〇万円に、被告人小倉昇については同法四七条本文、一〇条により犯情の重いと認める判示第一の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内において懲役一〇月に処し、被告人小倉昇に対してはこの裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予することとし、訴訟費用については刑事訴訟法一八一条一項本文、一八二条を適用して全部これを被告会社及び被告人小倉昇の連帯負担とし、主文のとおり判決する。

(裁判官 宮平隆介)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例